06379 成蹊大学法学部法律学科新入生が早く始めるといい7つのツールと一生ものの3つのスキル
https://flic.kr/p/2n83FWr https://live.staticflickr.com/65535/51931924721_9d2b39bfa9_3k.jpg
shio.iconの授業(民法1、民法2、LE1、知的財産法1)やゼミ(演習1、shioゼミ、ドラゼミ)を履修する学生が早く使い始めるといい7つのツールと一生ものの3つのスキルをご紹介します。 7ツール
1. 万年筆 + 顔料インク
2. マルマン:5mm方眼ルーズリーフ〈A4サイズ〉を横置きで
3. 三菱鉛筆:スタイルフィット
4. Apple:Mac
5. Apple:iPad + Apple Pencil
6. Nota:Scrapbox
7. 法令集(六法)と有斐閣法律学小辞典アプリ
3スキル
1. 完全タッチタイピング
2. shioシフト(親指シフト)
3. スキルの身につけ方
です。順にご紹介します。
https://flic.kr/p/2n84GWP https://live.staticflickr.com/65535/51932123219_34bf43a41e_3k.jpg
ツール
1. 万年筆 + 顔料インク
法律学は言語と論理の学問です。「法律語」と「日本語文法」からなる言語を、「法的三段論法」という論理によって組み立てていきます。
それに習熟するため、法学部法律学科の学生は、文章を書いて書いて書きくります。筆記具、超大切です。
万年筆がベストです。毛細管現象によってインクが自然と紙に乗るため、筆圧ゼロで延々と書き続けることができる。楽です。 司法試験の論述試験で1日数時間(1日目は7時間、2日目は6時間、3日目は中日でお休み、4日目は4時間、さらに二回試験(司法修習生考試)は7時間25分を5日間)にわたって「消えないインクのペン」で答案用紙に論述を書き続けます。万年筆なら筆圧ゼロなので、腱鞘炎にもならずに乗り切れます。 そのため、大学4年間で万年筆に習熟しましょう。shio.iconが担当する授業の期末試験は司法試験と同じく「消えないインクのペン」による論述が必須です。
万年筆には2種類あります。nib(ペン先)の材質の相違です。
1万円以下:nib(ペン先)が鉄または合金でできています。しなりが少ないので、一般的に硬い書き味です。
学生たちが使っているのは主として下記のふたつ。
1万円超:nibが14金や18金でできています。しなるので、柔らかい書き味です。
各社いろいろ。
shio.iconが現在使っている万年筆はパイロット「カスタム823(FAニブ)」。 両者、良し悪しではなく好みです。入門用としては、1万円以下のもので十分です。
インクはカートリッジよりも、吸入式の方が便利です。カートリッジ式の万年筆にも「コンバーター」を入れることで吸入式として使えます。 インクは染料と顔料があります。
一般的に流通しているインクのほとんどは染料です。発色が綺麗です。水に濡れると滲み、消えます。
顔料インクは書いたらすぐ乾き、裏写りもせず、滲まず、水に濡れても消えない耐水性や耐光性があり、安心して長期保存できます。
shio.iconは100%、セーラーの顔料インク「青墨」を使っています。ほとんどの印刷物は黒インクで書かれていますから、そこに書き込んだり自分で書いたものが青墨(濃い青)なら見分けがつきやすいからです。 黒インクがお好みならセーラーの顔料インク「極黒」が良いです。司法試験本番は黒インク必須です。 学生たちは普段、青墨を使い、司法試験受験直前にインクを極黒に入れ替えます。 初心者の定番は下記の二つ
2. マルマン:5mm方眼ルーズリーフ〈A4サイズ〉を横置きで
ノートは横長に置いて使うと使いやすいと思います。テレビの画面やPCのモニタ画面、横長ですよね。両目は左右についているので、横長に使う方が自然だと考えています。 左側2/3に授業で教員が言っていることをひたすら書き取り、右側1/3に自分の疑問、発見、意見、見解を書きます。また授業後に条文を書き写したり、shio図を書き加えたり そこでshio.iconは、マルマン製の5mm方眼ルーズリーフ(A4サイズ)を、カール事務器の「ルーズリング(10mm)」で束ねて、横置きで使っています。幾多のノート類を買って、使って、試してきたshio.icon的結論がこれ。表紙は不要。クリアホルダーに挟んでいます。 マルマン製の5mm方眼は、縦横どちらにも使えます。文字やNo.欄が記載されている他社製品は横置き使いには適しません。
ルーズリングはルーズリーフを閉じる最適なツールです。吉祥寺のヨドバシカメラの地下1階で売られています。100円程度です。購入するときは開閉するパーツもお忘れなく。開閉時の感触がいいんです。教科書類を断裁してスキャンした後に綴じる用途にも活用されています。
糸とじのノートではなくルーズリングでルーズリーフを使う理由は2つ。
2. 書くときは、ルーズリングを自分から遠い側にして、A4サイズ、横置きにして使います。ページをめくったらその紙を360度裏に回してA4サイズのまま使います。筆記する紙の束が常に一定枚数となり、万年筆での書き心地が不変で快適です。糸とじのノートだと、ページが進むにつれて左側のページは枚数が多くなり、右側のページは枚数が減っていきますよね。そのような書き心地の変化が生じないのが、ルーズリングによるルーズリーフのメリットです。
3. 三菱鉛筆:スタイルフィット
学問において、読むとき、書くとき、主観と客観を分けることが本質的に重要です。
主観:自分の考え、思考、感情、アイディアなど、自分の脳からアウトプットする情報です
客観:自分に対して外からインプットする情報です。さまざまな事実、書物の著者の言説、教員、友人など他人の言説などはすべて客観です。
読むとき、書くとき、これを分けるために、色を使います。
主観の色:グリーン
客観の色:ブルー。重要な情報はレッド。
それゆえ、教員が話している内容は客観情報(外から入ってくる情報)なので、それをノートに取る基本的な色がブルーになります。そのため、万年筆のインクもブルーの「青墨」を使うのです。ブルーを基本にすれば、書物に印刷されている活字の黒と自分の書き込みとがひと目で見分けがつくのも大きいメリットです。 これらを三色ボールペンで使い分けます。各社から発売されている三色ボールペンのうち、三菱鉛筆の「スタイルフィット」は顔料インクで16色を好みで組み合わせることができます。 shio.iconが使っているのは、0.5mmのブルーブラック、レッド、グリーンの3色です。
4. Apple:Mac
実は万年筆+ノート以上に重要なのがMacです。最高の文房具です。
文章を書く最も効率的なツールがMacです。
前述の通り、法学部法律学科の4年間はひたすら文章を書きます。法律問題の論述をはじめとして、shioゼミ/ドラゼミの学生たちは授業のノートもすべてMacで書いています。後述のScrapboxを使って、複数の学生で共同して授業のノートを書き取るなど、Macは文系学生の必需品。 以前、電車の中でMacを盗まれてしまったshioゼミの女子学生がしばらくWindows機で代用していた時、「Macを持たずに大学に来るなんてあり得ない〜〜〜」と嘆いていました。そのくらい、学生生活の必需品です。 shio.iconは1988年からMacを使っています。Windowsは持っておらず、買ったこともなく、一切使っておりませんし、使う機会がありません。そもそも使う理由が皆無。
Macの何がいいか、このブログにもたくさん書いておりますので、ここではちょっとだけ書きましょう。
かな漢字変換操作が不要。スペースキーを押して変換候補を表示し、選択し、確定する延々と繰り返す無駄な操作が不要です。かなを入力していくだけで適切な漢字かな混じりの自然な日本語をMacが記述してくれます。2015年からMacに標準装備されている「ライブ変換」の機能です。これひとつだけでも文章を書くツールとして圧倒的にMacが楽。 Macは画面の解像度が高いので文字がくっきりしているため、文書を書くときはもちろん、画面上で資料を読むのも目が楽。写真も綺麗。使いたい時に待ち時間ゼロですぐに使えて、完全に無音で、かな漢字変換が全自動なので変換キーを押す必要がほぼなく、パスワードはすべて覚えてくれるので自分で覚える必要がなく(実際shio.iconは自分の各種パスワード、知りません)、複数のMac/iPhone/iPad間で自分の情報が常時同期されているので、例えばiPhoneで撮影した写真は何もせずにMacに来ていたり、連絡先やスケジュールも同期される。買い替えた時にMacからMacへの情報の移行が全自動で済み、何年か使っても適切な価格で売却や下取りしてもらえます。
成蹊大学の学生は、大学がAppleと契約しているので、約1割引で買えます。その手順はポータルサイトのキャビネットの中にある「Apple on Campus」に説明されているので、それを読んでAppleに電話するか、渋谷、新宿、表参道、銀座、東京などにあるApple Storeに学生証を持参してください。簡単です。学生たちは、Appleが金利を負担してくれる12回ないし24回払いのローンで購入しています。 毎年、Macを知らずにWindows機を購入して入学した多くの1年生が、ゼミなどで先輩たちが使うMacとの大きな差異を目の当たりにして驚愕し、5月の連休や夏休みにMacを購入しています。両方持っていてもいいのですが、Windowsを使う機会はなくなってしまうので、勿体無いですね。
5. Apple:iPad + Apple Pencil
教科書や参考書は背表紙を断裁し、ScanSnap iX1300、iX1400、あるいは iX1600でスキャンしてiPadに入れておけば、書き込みも持ち歩きも軽々。
iPadとApple Pencilで手書きノートを書いている人も増えてきました。iPadの利便性に慣れてしまうと、正直言って紙のノートには戻れません。文章を書くのはMacがベストですが、shio.iconの授業では契約や当事者の法律関係を「shio図」によって視覚化する機会が非常に多いため、手書きノートも必須です。 司法試験や期末試験が「消えないインクのペン」による手書きである以上、万年筆を日常的に使って習熟することも重要ですので、両方、使い分けるといいでしょう。
iPadで使うノートアプリは「GoodNotes 5」がベストです。shio.iconの授業で板書に使っているのもこのアプリですので、shio.iconの授業に参加する学生は毎回、それを見ることになります。たくさんのノートアプリを使って比べてきた結果、圧倒的にshio.icon的ベスト。価格も980円程度で、ノートアプリの中で最も安いです。 6. Nota:Scrapbox
Mac/iPhone/iPad/WindowsPC/Android端末などでノートや論述を書く最高の環境が「Scrapbox」です。個人利用、教育利用は無料です。 「チームのための」と銘打たれていますが、個人で使うのもめっちゃ便利。
京都にある「Nota」社が開発、運営しています。慶應義塾大学SFCの増井俊之先生が発明した純日本製webサービスです。 授業で情報共有に使いますし、shioゼミで論述やプレゼンをする際に使うのはすべてScrapboxです。 基本的にどのブラウザでも使えますが、Google Chromeに最適化されていますので、Chromeとその互換ブラウザ(例えば下記)で使うと快適です。
7. 法令集(六法)と法律学小辞典アプリ
「法令集」は、一般に「六法」と言われる書籍です。入学後にブックセンターで購入してください。
有斐閣の『ポケット六法』が定番です。
最も薄くて軽くて安い『法学六法』を、shio.iconの授業では「教科書」として指定しています。
法学部の学生にとって、法律の条文こそが読むべき対象であり、それが掲載されている法令集(六法)が「教科書」です。それ以外の書物はすべて参考書です。
なお、成蹊大学で期末試験に持ち込める「指定六法」として、有斐閣の『ポケット六法』と『六法全書』が挙げられています(いずれも文字の書き込みをしていないものに限ります)。よって上記『法学六法』は期末試験に持ち込めません。ただし、shio.iconが担当する授業の期末試験に限っては「教科書」たる『法学六法』の持ち込みを(文字の書き込みをしていないものに限って)認めています。
有斐閣『法律学小辞典』という書籍がありますが、厚くて重いし、日常的に利用するのでiPhone/iPadアプリで購入したほうが使いやすいです。価格も書籍版と同じです。
https://flic.kr/p/2n86QYc https://live.staticflickr.com/65535/51932540435_9c86fd5186_3k.jpg
スキル
一生ものの価値があるスキルを3つ、できるだけ早く身につけましょう。
1. 完全タッチタイピング
Macのキーボードに置いた両手の上にタオルをかけてキーボードや両手が目視できない状態で、すべての文字、数字、記号を入力できるスキルを「完全タッチタイピング」と呼んでいます。 大学入学までに、あるいは遅くとも大学入学直後に、すぐに身につけてください。
すべての業務がタイピングによって行われている現在、「完全タッチタイピングできる」ことが「文字を書ける」ことを意味します。つまり、現代において小学校卒業レベルの必須スキルです。まだ身につけていない人は即刻、身につけてください。
鉛筆で文字を書くとき、鉛筆ではなく紙に書いている文字を見ます。バットでボールを打つとき、バットではなくボールを見ます。テニスのラケットでボールを打つとき、ラケットではなくボールを見ます。包丁で野菜を切るとき、包丁ではなく野菜を見ます。人は道具を使う時、道具ではなくその作用が及ぶ先を見るです。キーボードではなく、文字が書かれていく画面を注視しましょう。
発光体である明るい画面と発光していないキーボードとを交互に見るたび、目の瞳孔が伸縮し、距離も前後するので水晶体も伸縮します。それを繰り返し続けることがどんなに目に負担を与えるか。一生使い続ける目を大切にしてほしい。だから学生たちには1日も早く、完全タッチタイピングを身につけていただきたいのです。 正しく練習すれば、早い人は1日、遅くとも2週間程度でに身に付きます。
2. shioシフト(親指シフト)
ローマ字入力の57%の押鍵数で日本語をタイピングできるキーレイアウトです。MacでもWindowsでも無料で設定できます。
例えば「はひふへほ」とタイピングする時、ローマ字入力だと10回、キーを押下します。shioシフト(親指シフト)だと5回。「ぱびぶべぼ」でも5回、「ぱぴぷぺぽ」でも5回。極めて効率的かつ楽ちんです。shioシフトができるようになると、ローマ字入力していた自分が不憫に思えますよ。 ロースクールでの教え子の弁護士が「shio.iconから教わったことで最も価値があったのは親指シフト(shioシフト)です」と、半分冗談、半分本気でいうほど、「shioシフト」によるタイピングを身につけると日本語入力や日本語を記述する際の思考が高速化し、楽になります。ローマ字入力の約半分の時間で文章を書けるわけですから、仕事の効率が2倍近い。弁護士なら2倍稼げる。 3. スキルの身につけ方
大学4年間で身につける一生もののスキルのうち、最も重要なのは「スキルの身につけ方」というスキルです。つまり「スキルの身につけ方を身につける」のです。
人生は、新しいスキルを身につける機会が次々と訪れます。それらを着実に自分のスキルとして身につけることができるか、それもできるだけ短期間に身につけられるか。スキルを身につけるスキルこそ、一生使える究極のスキルです。
これが身についている学生たちは、新しいことを知ってから自分のものにするまでが早い。あっという間に自分のスキルとして身につけてしまいます(実は上記の完全タッチタイピングとshioシフトをほぼ1日で身につけた学生がいます)。その結果、経験値がどんどん上がっていき、成績が上がり、次々と成果を出せます。そういう人になりたいと思いませんか?
スキル獲得スキルは、
観察/諦聴→模倣→反復→習熟→会得
という要素からなります。それをどのようにして身につけるか。shioゼミでご一緒に実践していきましょう。 https://flic.kr/p/2n86Rex https://live.staticflickr.com/65535/51932541325_45e7eaf325_3k.jpg
実り豊かな4年間にしてくださいね。
https://flic.kr/p/2n83Ft2 https://live.staticflickr.com/65535/51931923131_31e49ec4de_3k.jpg